内閣府の最新調査によると、2010年の4~6月期の日本のGDPギャップ(日本の需要と潜在的な供給量の差を示す値)は、-4.8%になったという。金額に直すと、年換算で25兆円程度となる。9月3日 朝日新聞朝刊より
GDPギャップとは、需給ギャップとも言う。これの意味するところは、生産能力の過剰、逆から言えば、需要不足である。人間でいえば、育ち盛りの子供が十分に食事を摂らずにいるような状況である。せっかくの成長期にも関わらず、十分な栄養を摂らなければ、身体は成長しない。これは自明の論だが、こと経済の問題になると俗説が蔓延り、正論が通らない傾向にある。せっかく成長できる潜在力があるのに、そのチャンスを逃すことは勿体ないに決まっている。経済は、常に成長を目指すものであるし、日々日本人が一生懸命に働いても、全然成長しない社会では働きがいもないだろう。諸外国は日本が低迷している間にGDPを大きく伸ばした。日本は成長しないという思い込みを捨て去るべきである。
最近の経済情勢を見ると、円高、株安、債権高(国債の利回りが1%を下回る日が続いた。この稿を書いている段階では、1.105%)となっている。日本の国債債務残高は巨額であり、ギリシャのような破綻も叫ばれるが、破綻する国家の通貨が安くなり、債権金利が低下したりする例はない。逆ばかりである。通貨高、債権利率の低下は、少なくとも、その国家が信頼されていることを意味する。全くの信頼を失った国家の債権や通貨を誰が買うであろうか。売り浴びせられることが、金融市場の常である。つまり、日本の現状は、国家破綻寸前の姿ではないのだ。それはシビアである金融市場が如実に表しているから確実だ。
では、株安はどのように説明すれば良いだろうか。これは、上記の需給ギャップに答えがある。日本の国内市場が縮小していて、いくら優れた生産技術を持っていても、その力をフルに活用できていないことが一番の原因である。日本の需要、つまり消費が落ち込み、企業の売上が下がり、従業員の給料も下がる、正にデフレスパイラルである。日本人の所得が全然増えていないのだから、国が豊かになる道理もない。日本人が活発な消費が出来る様に、大幅な政府支出が必要なのである。
政府支出といっても。ケインズが例示したような単なる支出(穴を掘ってまた埋めるといった行為)ではなく、有効な支出が必要だ。具体的には、耐震工事の推進、校庭の芝生化、最低賃金上昇のための補助金、こども手当だけでなく、国民全体への手当(特にバブル崩壊後の経済的に不遇をかこった世代に)、森林の再生と国内木材消費の推進、国際共省力を持った港湾整備などいくらでも挙げられる。要は、政府が大胆かつ緻密に確かな政策を実行することに尽きるのである。財源は、豊富なデフレギャップを埋めるためにも政府紙幣や無利子国債などを使えばいい。デフレギャップが生じているのに、政府紙幣や国債の発行はインフレを招く、という言論があるが、デフレ状況でインフレを目指すのは当たり前である。穏やかなインフレこそが、経済成長の要である。日本のエコノミストの多くは、インフレを極度に恐れる様だが、この物資の豊富な日本でそう簡単にハイパーインフレなど起きる訳がないのである。政府が、思い切った積極財政を貫き、確固とした政府支出を行えば、日本経済は甦る。
現在民主党の代表選が行われている。小沢一郎前幹事長は、積極財政を唱えている。亀井前金融担当大臣も積極財政論者である。日本経済にとっては、こうした人物が日本経済を牽引した方が、確実に良い結果を招くだろう。小沢や亀井には色々な問題があるが、少々の悪徳も、国民を幸せにすれば帳消しにできる。「小善は大悪に似たり」と古の言葉がある。小さな正義感は国を滅ぼす。清濁併せのむような人物でなければ、政治の難局は乗り切れないことは、歴史が証明するところである。

